介護保険の仕組みと受けられるサービスについて

介護保険制度とは、介護保険料を支払っている被保険者が、一部負担金のみで介護や支援のサービスを受ける事が出来る公的な社会保険制度です。

財源は半分が保険料、半分が公費で賄われています。

介護を受ける本人はもちろん、介護する家族などの経済的・心理的負担を軽減し、社会全体で支えていくための仕組みと言えます。

障害の程度によって、どの程度のサービスを受けられるかが決まりますが、サービスは民間企業をはじめ、様々な業者から提供されているので、何をどのように利用するかは、介護を受ける側で決める事が出来ます。

対象となるのは、他の社会的扶助などを受けていない40歳以上の人で、給付を受けるには要介護認定を受ける必要があります。

このうち65歳未満は2号保険者と呼ばれ、末期がんや関節リウマチなどの特定疾病を原因とした介護や支援に限って、制度を利用出来ます。

保険料は国民健康保険などの社会保険料と一括して徴収されます。

65歳以上の1号保険者には、介護を必要とする理由に制限が無く、保険料は原則として年金から天引きされます。

介護サービスを受ける場合の自己負担は原則1割ですが、所得に応じて2割または3割となります。

要介護認定の手続き・申請の流れ

要介護認定の手続きは、制度を利用したい人が市町村の窓口に相談する事からスタートします。

通常はチェックリストによる確認を経て申請へ進みますが、明らかに介護・支援が必要な場合は省略される事があります。

また、明らかに制度の対象外である場合や、チェックリストにより対象外であると認められる場合は、介護サービス事業者の紹介などに留まります。

要介護認定の申請が行われると、まず調査員が派遣され、面接などを通して介護を望む人の現状を74項目(2009年以降)にわたって調査します。

これに主治医の意見書を合わせてコンピュータ判定を行います。

コンピュータは介護に必要な時間や、現状の維持・回復の可能性などを、全国一律の基準に沿って推計します。以上が一次判定です。

二次判定では、学識経験者から成る介護認定審査会が、一次判定の結果をもとに審査して、要介護1から5・要支援1または2・非該当のいずれかに決定します。

コンピュータ判定で対象にならなかった特記事項も、この審査で考慮されます。審査結果は申請から30日以内に通知される事になっています。

結果に異議がある場合、都道府県の介護保険審査会に不服を申し立てる事が出来ます。

認定の更新は初回が6ヶ月、2回目以降は2年毎になりますが、要介護度の変更などにより、臨時に更新される事もあります。

介護保険で受けられる3種類のサービス

(1)居宅サービス

自宅に居ながら利用出来る介護サービスで、介護給付を受ける事が出来ます。

介護福祉士や訪問看護員が自宅を訪れて行う「訪問介護」はもちろん、要介護者が日中に介護施設を訪れて入浴や機能訓練などを行う「通所介護」(デイサービス)、

看護師などが一部の医療行為や看取りなどを行う「訪問看護」、施設に短期間だけ入所する「短期入所」(ショートステイ)、福祉用具の購入やレンタルなどが含まれます。

主に要介護者の自立を促したり、介護をする人の負担を軽減するのが目的です。

(2)支援サービス

専門知識を持ったケアマネージャーが、適切なケアプランを作成したり、必要な手続きを行うサービスです。

また定期的なケアプランの見直しなども行ってくれます。

費用は全額保険が適用されるため、自己負担はありません。

(3)施設サービス

特定の施設に入所し、そこで生活しながら利用する介護サービスで、介護給付を受ける事が出来ます。

対象となる施設は、介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)、介護老人保健施設、介護医療院、介護療養型医療施設です。

このうち介護療養型医療施設は、2023年度末までに段階的に廃止される予定です。

これらは要介護度によって、受けられるサービスの具体的な内容などに違いがあります。

(1)居宅サービスについて

①訪問介護

要介護者が自立した生活を送るために、介護福祉士(ケアワーカー)や訪問介護員(ホームヘルパー)が自宅を訪問して行う介護サービスです。

洗濯、掃除、買い物、通院時の外出補助、介護の必要により生じた治療食や流動食などの調理と言った、身の回りの世話に加え、食事や排泄、着替えなどの介助も行います。

施設へ入所する場合に比べ、安い費用で利用する事が出来ます。

ただし単なる家事代行では無く、あくまで自立に向けた支援が目的である点に注意が必要です。

>>訪問介護サービスとは?サービス内容や料金、選び方のポイントについて

②通所介護(デイサービス)

要介護者がデイサービスセンターなどの施設に通い、食事や入浴を行ったり、日常生活に必要な動作の訓練を受けられるサービスです。

施設への送迎も、サービスの一環として行われています。

利用者同士の交流もあり、孤独感の解消など精神面の改善や、将来的に施設での集団生活を念頭に置いたリハビリテーションとしての効果も期待されます。

>>デイサービスとは?サービス内容や料金、選び方のポイントについて

③短期入所(ショートステイ)

短期間(連続では数日から30日以内)の利用を前提として、要介護者が施設へ入所して介護を受けられるサービスです。

普段介護をしている人が、何らかの事情で介護を一時的に中断したい場合などに利用されます。

ほとんどの場合、ケアプランの変更を伴うので、ケアマネージャーに相談する必要があるでしょう。

また大変人気の高いサービスで、実際に利用出来るまで1、2ヶ月を要する事があります。

>>ショートステイとは?サービス内容や料金、選び方のポイントについて

(2)支援サービスについて

要介護認定を受けた後、実際に介護サービスを受けるためには、

各種サービスをどのように組み合わせて利用するかや、本人の要望、具体的な目標などを記載した、利用計画書(ケアプラン)を作成する必要があります。

ケアプランは要介護者やその家族などの介護人が作成する事も出来ますが、専門知識が必要なため、「居宅介護支援」を利用するのが一般的です。

居宅介護支援は、ケアプランの作成と定期的な見直し、介護業者との調整までを、介護支援専門員(ケアマネージャー)が行ってくれるサービスです。

ケアマネージャーは医療福祉関連の実務経験を積み、都道府県が実施する試験に合格した専門家です。

費用は全額介護保険で賄われるため、自己負担はありません。

(3)施設サービスについて

①特別養護老人ホーム(特養)

自宅で自立した生活を送る事が困難な人が、長期利用を前提に入所して介護を受ける事が出来る施設です。

民間の有料老人ホームに比べ安価で、入所にあたって一時金などを必要としません。

また入所者3人につき1人の介護職員が配置され、24時間体制で介護を受ける事が出来るなど、手厚い介護サービスを受ける事が出来ます。

一方で入所には要介護3以上の認定が必要とされ(2015年度以降)、人気も高いため、なかなか入所出来ないという状況も生まれています。

>>特別養護老人ホームとは?サービス内容や料金、選び方のポイントについて

②介護老人保健施設(老健)

退院直後など自宅で生活するのが難しい人を対象に、数ヶ月間の利用を前提に入所して介護を受ける事が出来る施設です。

病院と自宅の中間施設という位置づけで、自宅で生活する事を目標としたリハビリが充実しており、特養ほどではありませんが、比較的安く利用する事が出来ます。

医師や看護師も配置されているので、医療サービスに関しては心配がいりません。

3ヶ月毎に継続審査があります。

>>介護老人保健施設とは?サービス内容や料金、選び方のポイントについて

③介護療養型医療施設

介護度の高い人などを対象に、充実した医療サービスを受ける事が出来る施設です。

入居者100人につき3人の常勤医師、6人につき1人の看護・介護職員が配置され、本格的な医療やリハビリ指導を受ける事が出来ます。

ただし、比較的病状が安定している人の退院を目標とする「病気療養」との区別が曖昧である点などが問題視され、2023年度末までに廃止される事が決定しました。

代わって2018年度より創設されたのが「介護医療院」です。

要介護者へ長期にわたる医療・介護サービスなどを提供し、同時に日常の生活空間としての機能を両立させた、介護施設本来の姿に立ち返ったものと考える事が出来ます。

>>介護療養型医療施設とは?サービス内容や料金、選び方のポイントについて

※こちらの記事は介護職の転職情報サイトの内容を一部引用しています。